5. プリンシプル

プリンシプルとは全ての親と子供の間で守られていなければならない制約のことです。
HPSGにはTHE HEAD FEATURE PRINCIPLE(主辞素性原理)というプリンシプルがあって、これは非常に重要な制約なのですが、以下のような形をしています。
HEAD FEATURE PRINCIPLE
親のHEAD素性と子のHEAD素性の値は構造共有されていないといけない、ということです。
HEADの下には主辞の重要な情報がはいっていて、主辞の重要な要素は親にひきつがれる、ということです。(補語のHEADの値は捨てられる、と思えばいいでしょう。)

ちなみにLiLFeSで書くなら以下のような形になるでしょう。

head_feature_principle($HEAD,$MOTHER) :-
        $MOTHER = (SYNSEM\LOCAL\CAT\HEAD\ $X),
        $HEAD = (SYNSEM\LOCAL\CAT\HEAD\ $X).
他にもたくさんのプリンシプルがあって、こういったプリンシプルが主辞の親の形を形成し、しいてはHPSGの構文木が決まるわけです。また、実はスキーマはTHE ID PRINCIPLE(主辞句は必ずスキーマのうちどれか一つと単一化されないといけない)と呼ばれているプリンシプルで用いられています。

つまり、HPSGにおける親子の制約は、

HPSGにおける親子の制約 = (THE-ID-PRINCIPLE) Λ (THE-HEAD-FEATURE-PRINCIPLE) Λ (その他のプリンシプル1) Λ ... Λ (その他のプリンシプルn)
となり、THE-ID-PRINCIPLEは、
THE-ID-PRINCIPLE = (スキーマ1) ∨ (スキーマ2) ∨ (スキーマ3) ∨ ... ∨ (スキーマn)
となります。
HPSG入門

4. スキーマ


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二宮 崇 & 坂尾 要祐